ERでの「骨折の見落とし」「固定の失敗」「説明の不足」こんな経験はないだろうか。整形外科軽症外傷はERでもっとも多い外傷のひとつ。小児救急とならんで必須のスキルである。軽症の外傷ならば、最低限必要な標準診療は是非ERで行って、整形外科の労苦を助けたいもの。そこに両科のリスペクトしあう連携が構築される。本書はそのために必要なERにおける標準的初期診療の標準化を目指したものである。現場で役立つ適切な評価と処置のスキルを丁寧に解説している。
序 文
- 太田 凡
第1章 診 察
- 「そんなことも聞いていないのか!」と言われない,ERでの病歴のとり方/許 勝栄・David Schroder
- X線写真の前に身体診察でやっておくべきミニマム/永田高志
第2章 X線検査
- 正面・側面以外の撮影法って何があるの?−オーダーする時書いてある特殊撮影って??/小山泰明
第3章 見逃してはいけないポイント
- これだけは絶対に見落とさないで!−血行障害,神経障害,コンパートメント症候群の評価法/川井 真
- 「もうひとつの損傷」に注意−冷静に分析する目を養おう/本多英喜
- 見逃しやすい骨折をあたまに刷り込んでおこう−知っていて,狙って撮って,よく診れば,見逃しません,骨折脱臼/徳永日呂伸
- 小児で見逃しやすい重要な骨折−子供は大人のミニチュアではない!/小淵岳恒
- 私が納得したい骨折所見の記録法−スムーズなコンサルトに役立ちます/志賀 隆
第4章 治 療
- RICE ってエビデンスがあるんですか?−エビデンスと臨床とわたしとあなた/宮道亮輔
- Icing, Elevation は具体的にどう指示すればいいの?−具体的な指示書のサンプル/市川元啓
- アルミニウムスプリントを使いこなそう−整形外科医を納得させるアルミニウムスプリントの使い方/林田 敬
- ソフトシーネの使用/伊藤史生・杉山 宏
- ギプスシーネ(Padded Splint Cast)を使いこなそう/太田 凡・柳沢勇一郎
- 鎖骨バンドとバストバンドを使いこなそう−鎖骨骨折=鎖骨バンド,肋骨骨折=バストバンド.これでほんとうにいいの?/不動寺純明・福内正義
- 膝関節への穿刺法を教えよう/仲田和正
- 肩関節脱臼の整復法を教えよう/山下雅知
- 包帯と三角巾の正しくて綺麗な使い方のコツ−美しく巻かれた包帯は,患者に安心と信頼感を与える/林 峰栄・上原敏則
- 救急室での松葉杖の使い方と基本的指導法−患者さんの生活環境も考えよう/雨田立憲
- ERにおける鎮静処置−薬剤の使い方と注意点/太田正文
第5章 ピットフォール
- 整形外科受診は翌日でいいの?/奥本克己・宮本和彦
- コンパートメント症候群の発見が手遅れとならないために−脈が触れてもコンパートメント症候群?/野々上 智・仲田和正
- 「骨折を ERで見逃された」ということをなくすには?−トラブルにならないためのインフォームドコンセント/伊藤壮一・石神 等・八木 満
Entrainez-vous
- ERで見逃しやすい骨折/徳永比呂伸
- 「もう一つの損傷」に注意!講座編/本多英喜
編集後記
- 許 勝栄