頸損晩夏―創りつづけた頸髄損傷35年の生活の記録
著 者
:上村数洋・上村八代衣・畠山卓朗・小島 操
判 型
:B5判 4色
発行年
:2017年
頁 数
:196頁
ISBN
:978-4-908083-22-8
電子化
:なし

定価 本体1,800円+税

  • 内容紹介
  • 目次
 著者は26年前に「明日を創る」という本を出版している.事故で頸髄損傷となり,首から下の機能を失いながらも,在宅に戻り,自立した日常生活が送れるようになるまでを描いたものである.その表紙を自身で描いたCGで飾り,本文も自分で口で打ち込んで仕上げた.当時なんの技術もなく,多くの頸損当事者が寝たきりのままの生活を強いられ,失意のどん底にとどまっている中で,それは奇跡であった.著者がどのように自立の道を探って行ったのか,支援者たちとの交流が克明に記録されたその本は,当時,当事者,専門職を問わず全てに広く感動を与えた.
 それから26年の歳月が過ぎた.リハビリの一時のものではない.著者はその後も活動を続け,障がいを持つ人の社会参加,就労支援,政策提言をも行っている.いつの間にか支援される側から支援する側になっていたのだ.しかし,一度として動くことないからだ同様,動かない社会的現実にも同時に直面している.障がい者へのうちそとのバリヤーは簡単には超えることはできない.本書は支え支えられた仲間が再会,奇跡の出会いからそれぞれが実体験した26年を振り返り,明日障がいを持つ仲間たちへのメッセージである.
  • 序文 創りつづけた日々

第1部 受傷から在宅生活まで

第1章 受傷,救急入院そして専門病院に転院

  • 1.受傷のとき―俺は生きているゾー!
  • 2.俺,治るかなぁ―救急病院にて
  • 3.脊損専門病院に転院にして―中部労災病院の入院生活
  • ■Interview/医療者の視点から   小谷俊一
    長期間腎機能を保った上村さんは優等生

第2章 私を支えた宝物

  • 1.私の三つの宝物
  • 2.子供時代から培われてきた感情
  • 3.妻は今も障がい児のための指導員
  • 4.愛より強い伝統的規範

第2部 支援技術や人に支えられての自立生活

第3章 自立へ―支援技術との出会い

  • 1.畠山卓朗さんとの日本一幸福な出会い
  • 2.福祉機器を活用することは人間的でなく,冷たいと言われたが…
  • 3.ページめくり機
  • 4.吊り具と電動車いす
  • 5.趣味を取り戻す
  • 6.CGを描く
  • 7.頸損者からの質問に答えようと綴った原稿が後に『明日を創る』という本に
  • 8.自分にもできることがある(生きる自信)

第4章 人との出会い

  • 1.第1回から「リハ工学カンファレンス」に参加
  • 2.知事とのテレビ対談
  • ■Interview/行政の視点から   梶原 拓
    中央集権から地方分権へ,さらに市民分権に

第3部 社会参加・就労支援活動に取り組む

第5章 海外の障がい者の事情から学ぶ

  • 1.日米障がい者会議に出席

第6章 社会参加・就労支援のための活動を開始

  • 1.就労を望む声
  • 2.就労を目指す前に必要な課題の解決に向けて
  • 3.夢の実現を目指して
  • 4.障がい者の社会参加を支援する
  • 5.重度障がい者の就労目指して

第7章 バーチャルメディア工房ぎふの登録ワーカー紹介

  • 1.取り組みの紹介―大垣PCサポート
  • 2.仕事を離れて

第4部 障がい当事者の立場から提言する

第8章 福祉工房「Kid’s Dream」の取り組み

  • 1.福祉工房「Kid’s Dream」の取り組み―仕事と生きがい
  • 2.Kid’s Dreamの取り組み―世界中の匠が集まる
  • 3.障がい児の未来をひらく
  • 4.IT環境のバリアフリー化に向けて
  • 5.障がい児のQOLの向上を目指して

第9章 35年経った,今振り返る

  • 1.何が変わったか
  • 2.これまでに浮かび上がってきた問題点・課題
  • 3.恩送り―Life Work
  • 4.受傷後心がけていること

第10章 障がい児・者の参加を考えるとき

  • 1.理解を得るために―がんばればわかってもらえる
  • 2.忘れられない人―7年間がんばって結婚,三つ子の父に
  • 3.個人情報保護がなかったからこそできた

第11章 できたことできなかったこと―持続する活動のむずかしさ

  • 1.原点 思いが伝わらない
  • 2.作業療法士(OT)への期待
  • 3.行政への期待
  • 4.障がいは終わりのない旅

第5部 そして今

  • 1.座談会/未来に伝える―生きるための出会いと支援
    上村数洋・上村八代衣・畠山卓朗・小島 操
  • 2.聞き書き/今,伝えたいこと,思っていること 上村数洋・小島 操
  • 3.寄稿/リハ工学の視点から   畠山卓朗
    人と人のつながりの中で,人は生きる意味を探している
  • 4.付録/上村数洋氏活動の記録