「救急医療の現場で適切かつ迅速に救命処置を行うには、患者ケアの標準化が必要である」との初版編集者の山中克郎先生（現・諏訪中央病院）の思いから出版となった「ERの哲人」は、初版からすでに十年余を数えます。その間、更新が必要な情報（ガイドラインなど）、加えるべき新しい処置法・検査手法も数多くなり、改訂することとなりました。
初版では、救急現場で必要となる「薬剤」に関するパートを収載しておりましたが、第2版ではこれらを省き、診療に特化しました。にもかかわらず、総ページ数は増えました。コンパクトで、臨床現場に持ち歩ける手軽さを維持しつつも、より充実した内容となっています。
Part 1 基本中の基本
- 救急室での診療録記入と初動
- バイタルサインの読み方
- 救急室でのプレゼンテーション
- 心電図簡易チェックガイド
- 酸—塩基異常
- 救急外来輸液の基本知識
Part 2 救急処置プロトコール
- 成人の一次救命処置（Adult Basic Life Support：ABLS）
- 小児の一次救命処置（Pediatric Basic Life Support：PBLS）
- 成人の二次救命処置（Advanced Cardiovascular Life Support：ACLS）
- 虚血性胸痛（ischemic chest pain）
- 徐脈（bradycardia）
- 脈拍のある頻拍（tachycardia）
- 脳血管障害（stroke）
- Japan Advanced Trauma Evaluation and Care（JATEC）＜外傷初期診療ガイドライン＞
- 災害医療（Disaster Medical Service）
Part 3 症状からのアプローチ
- 失神（syncope）
- せん妄（delirium）
- 発熱（fever）
- 咽頭痛（sore throat）
- 頭痛（headache）
- めまい（vertigo／dizziness／presyncope）
- 視力障害（visual loss）
- 胸痛（chest pain）
- 呼吸困難（dyspnea）
- 咳（cough）
- 腹痛（abdominal pain）
- 吐血・下血（hematemesis・hematochezia）
- 嘔気・嘔吐（nausea and vomiting）
- 下痢（diarrhea）
- 便秘（constipation）
- 腰痛（low back pain）
- 浮腫（edema）
- 発熱と発疹（fever and rash）
- 鼻出血と聴力障害（epistaxis and hearing loss）
- 四肢のしびれ（paresthesias）
- 血尿（hematuria）
- 歩行障害（gait abnormalities）
- 排尿障害（dysuria）
Part 4 救急疾患の診断と初期治療
- ショック（shock）
- 脳血管障害（stroke）
- 一過性脳虚血発作（transient ischemic attack：TIA）
- クモ膜下出血（subarachnoid hemorrhage：SAH）
- 意識障害（coma and somnolence）
- けいれん（seizure）
- 急性冠症候群（acute coronary syndrome：ACS）
- 急性心不全（acute heart failure）
- 大動脈解離（aortic dissection）
- 高血圧緊急症（hypertensive emergencies）
- 急性呼吸不全（acute respiratory failure）
- アナフィラキシー（anaphylaxis）
- 気管支喘息（bronchial asthma）
- 肺塞栓症（pulmonary embolism）
- 肺炎（pneumonia）
- 敗血症（sepsis）
- 緊急対応が必要な感染症
- 消化管出血（gastrointestinal bleeding）
- 急性腎障害（acute kidney injury）
- 電解質異常（electrolyte disorders）
- 糖尿病性ケトアシドーシス，高浸透圧性高血糖昏睡（diabetic ketoacidosis, hyperosmolar hyperglycemic state）
- 低血糖（hypoglycemia）
- 頭部外傷（head injury）
- 顔面外傷（facial injury）
- 頸部外傷（neck injury）
- 胸部外傷（thoracic injury）
- 腹部外傷（abdominal injury）
- 骨盤外傷（trauma to the pelvis）
- 四肢外傷（injuries of extremities）
- 見逃しやすい骨折
- 創傷処理・処置（wound management）
- 熱傷（thermal burns）
- 中毒（poisoning）
- 異物誤飲（swallowed foreign bodies）
- 体温異常（hypothermia and hyperthermia）
- 職務感染事故（occupational puncture）
- 虐待（abuse）
- 小児救急（emergency care for pediatrics）
- 精神科救急（psychosocial disorders）
- 婦人科救急（obsteric and gynecological emergency）
Part 5 救急外来に必須の法律と文書作成
- 救急外来業務に必須の法律
- 死亡診断書および死体検案書の作成
- 索 引
