治療に難渋する長引く・頑固な・つらい運動器系(手・足・腰・筋・関節)などの痛みに対する今日の治療指針.治療法全体を概観しているが,特に薬物療法につき,最新の薬物療法の動向と,病態生理や臨床薬理学の最新の知見に基づく治療のメカニズムを科学的裏付けを示してながら薬物治療の按配までを詳しく解説している.薬物の範囲は非オピオイド系から向精神薬,筋弛緩薬,抗リウマチ薬までの11系統に加えて漢方薬までを網羅している.また個々の症候に対するベストプラクティスの紹介,薬物相互作用,Drug information,など整形外科専門医でなくとも,自信をもって臨床に臨むことができるよう工夫されている.
第1章 序論
- 劇的に変化している鎮痛薬物療法/菊地臣一
- 痛みに対する認識の変化
- 従来の薬物療法の位置づけ
- 従来の薬物療法の持つ課題
- NSAIDsの選択基準
- アセトアミノフェンに対する再評価
- 新たな薬剤の登場
- その他の薬剤
- 鎮痛薬物療法体系の再構築−期待と課題
第2章 痛みを有する患者に対する薬の使い方
- 概論/柴田政彦
- 症例提示
- 痛みの病態把握/柴田政彦、 田口 敏彦
- 痛みの持続期間を把握する
- 痛みの持続期間を指標として薬物治療戦略を考える
- 薬物治療を奏効させるために
- 痛み診療で使用する薬剤を知る/柴田政彦
- 薬を使いこなす
- 副作用の把握とその対策
- 痛み治療の効果を評価する/柴田政彦、 関口 美穂、 紺野 愼一
- 評価法の種類と使い方
- 評価法を用いずに治療評価を行う際のコツ
第3章 主な症候とその薬物療法の実際
- 神経障害性疼痛/住谷 昌彦、 竹下 克志
- 神経障害性疼痛の診察
- 神経障害性疼痛に随伴する症状(痛みの悪循環モデルに楔を)
- 神経障害性疼痛の薬物療法
- 神経障害性疼痛に対する薬物療法実施時の注意点−痛みの段階に応じた薬物の使い方
- その他の薬剤
- 関節リウマチ−主な症候とその薬物療法/西本 憲弘
- 疫学・症候・診断
- 病因・病態
- 薬物治療
- 関節リウマチ−非薬物療法を中心に/史 賢林、 橋本 淳
- 痛みのメカニズム
- 痛みの評価
- 痛みに対する非薬物的アプローチ
- 関節注射
- 慢性の痛みと精神心理学的側面−症候を出発点とした痛みの薬物療法/橋本 亮太、 安田 由華、 大井 一高、 福本 素由己、 山森 英長、 武田 雅俊
- 慢性の痛みを引き起こす身体疾患と精神疾患の分類
- 精神疾患各論
第4章 運動器の痛みにおける薬物治療 ベストプラクティス
- 人工関節置換術後に残る痛みに:プレガバリン(リリカ®)、ノルトリプチリン(ノリトレン®)/池内 昌彦
- 脊髄・末梢神経損傷後の自発痛に対して:リドカイン静脈注射/尾形 直則
- 疼痛に伴う不眠治療のオプションに:ミルタザピン(リフレックス®、レメロン®)錠/住谷 昌彦
- 治療抵抗性の慢性腰痛に対して:塩酸トラゾドン(デジレル®)/関口 美穂、 紺野 愼一
- 画像検査所見に異常がなく、上肢痛、しびれ、冷感、ほてりなどの症状に対して:トフィソパム(グランダキシン®)/矢尻 洋一、 木村 慎二
- 神経損傷による四肢、体幹の痙攣・痙性、痛み、しびれに:ダントリウム®、セルシン®、ギャバロン®、テグレトール®/矢尻 洋一、 木村 慎二
- MRIで腰椎椎間板ヘルニアを認める腰殿部痛治療のオプションに:サルポグレラート塩酸塩(アンプラーグ®)錠/川上 守
- 腰部脊柱管狭窄症術後のこむらがえりに:シロスタゾール(プレタール®)/松本 守雄
- 変形を伴う関節痛に:桂枝芍薬知母湯(三和桂芍知母湯®)/三潴 忠道
- クーラー病(腰痛)に対して:五積散加附子/井上 隆弥
- 交通事故や労働災害の後に持続する慢性痛/笠井 裕一
第5章 臨床医のためのDI(drug information)
- 痛み治療に使用できる薬剤一覧/岡本 禎晃
- 非オピオイド鎮痛薬
- 抗うつ薬
- 抗けいれん薬
- ナトリウムチャネル阻害薬
- 非オピオイド・非シクロオキシゲナーゼ阻害剤
- 筋弛緩薬
- オピオイド系鎮痛薬
- 制吐薬
- 緩下剤
- 睡眠導入薬
- 関節リウマチ(RA)治療における抗リウマチ薬(DMARDs)
- 薬物相互作用
- 漢方について/井上 隆弥
- 漢方医学的なものの考え方を把握する
- 痛みの漢方治療に関する問診術
- 6つの武器の使い方
- 「証」以外での漢方薬の処方について