長年うつ症状に悩まされ,名医の治療を受診しつつも「言葉」による対話型の精神療法に限界を感じていた著者.ある日,なにげない作業を通して,自分の心が解き放された経験をきっかけに,「作業」をさらに深く理解したいと大学院での研究を思い立つ.その思いに突き動かされ,精神科作業療法の第一人者 山根寛教授を見出し,京都大学大学院の院生として作業療法の治療的機序の研究と,うつ病の当事者として,自身の体験を通して治療効果を確かめたい旨を山根教授に申し出る———————————.
本書は当事者である著者が作業療法士である山根寛教授の指導のもとで,作業療法を実際に体験し,自身を事例に研究,最後には学会にて発表するに至るまでの過程について,著者自身による記録と山根教授による解説によって記されている.著者がどのような体験をし,どのような作業の効用を感じていたのか.また,精神療法(言葉)と作業療法(作業)の持つ力やその相関性とはどのようなものなのかが凝縮された一冊となっている.
さらに,本書の巻末には主治医であり,わが国の精神医学界の泰斗笠原嘉医師も交えて著者,山根教授の鼎談にてそれぞれの思いを語り合っていただいた.
作業療法の本質,とりわけ当事者の体験を通してしか知ることができない,作業の持つ力やそのありかたを学ぶことのできる,わが国にはこれまでにない新しい形の精神科教本である.
本書は当事者である著者が作業療法士である山根寛教授の指導のもとで,作業療法を実際に体験し,自身を事例に研究,最後には学会にて発表するに至るまでの過程について,著者自身による記録と山根教授による解説によって記されている.著者がどのような体験をし,どのような作業の効用を感じていたのか.また,精神療法(言葉)と作業療法(作業)の持つ力やその相関性とはどのようなものなのかが凝縮された一冊となっている.
さらに,本書の巻末には主治医であり,わが国の精神医学界の泰斗笠原嘉医師も交えて著者,山根教授の鼎談にてそれぞれの思いを語り合っていただいた.
作業療法の本質,とりわけ当事者の体験を通してしか知ることができない,作業の持つ力やそのありかたを学ぶことのできる,わが国にはこれまでにない新しい形の精神科教本である.
Prologue
- なぜ自分が「自例」なのか(Hana)
- 「自例」研究に寄り添って(ZIZI)
第I章 なぜわたしが「作業体験」を
- 1.小精神療法との出会い(Hana)
- 2.わたしと作業(Hana)
- 3.大学院に行こう(Hana)
- 4.Hana の診断について(ZIZI)
第II章 わたしの作業体験
- 1.作業体験の始まり(Hana)
- 2.緊張,不安感,ストレス(Hana)
- 3.作業への依存(Hana)
- 4.少しゆとりが(Hana)
- 5.落ち込み,中断,内省,復帰,調整の時期(Hana)
- 6.作業の特性とHanaの作業体験(Hana,ZIZI)
- 7.Hanaの作業体験を振り返る(ZIZI)
第III章 学会発表とその後(Hana)
- 1.なぜ学会発表をすることになったのか
- 2.学会発表を決心するまで
- 3.演題投稿とその後の準備
- 4.学会発表
- 5.学会発表後
- 6.そうした一連の体験をした後になにが起きたのか
第IV章 まとめに代えて(ZIZI)
- 1.治療・支援における介入手段の違い
- 2.作業をもちいる治療・支援構造
- 3.パラレルな場
- 4.言葉の力,作業の力
- 5.治療・支援者の役割
第V章 それぞれの立場から(主治医笠原,ZIZI,Hana)
- 症状の向こうに人間を見る
- 身近な作業が道しるべに
- 言葉と作業で診る
- 表情や所作に優雅さがもどる
- 作業ができる待合室は可能か?
- 精神医療は大きく進んだが……
- 病いと共存できるかも
- 新しい宿題
Epilogue
- 作業が拡げた新たな道