最近10年間、医師国家試験合格率第一位で有名な自治医科大学。その活躍は「成功」と言っても差し支えないだろう。その功績を追い風と見込んで、半世紀前にたち切れになった第二の自治医科大学を構想しようと本気で考えたのが本書である。初代学長の中尾喜久先生、2代学長の髙久史麿先生の理念と言動を資料とインタビューからひも解き、成功要因を分析した。ある種の夢物語。だが、ただの妄想として片付けるには、あまりにもったいない、未来の日本の医療への示唆に富んだ一冊に仕上がっている。本書の推薦者で同大一期生である、尾身茂氏の言葉を借りれば「一読の価値ある夢物語」。ご笑覧いただければ幸いである。
箕輪良行(みさと健和病院 救急総合診療研修顧問)
1979年、東京自治医科大学を卒業(2期生)。東京都立豊島病院で研修後、日本医科大学救命救急センターで1年間の専門研修を受け、三宅島三宅村国保阿古診療所、伊ヶ谷診療所に勤務。自治医科大学大宮医療センター開設のために奔走した。その後、船橋市立医療センター救命センター部長を経て、聖マリアンナ医科大学救急医学教授、救命センター長、臨床研修センター長を兼務した後リタイア。現在は離島診療所と大都会病院を交代で勤務している。趣味はリタイア後に始めたサックス。定期的な演奏会に精を出している。
第一章 自治医大の成功に学ぶ(歴代学長インタビュー)
- 1 初代学長インタビュー
- 2 二代学長インタビュー
第二章 現代に求められるもうひとつの自治医大(卒業生インタビュー)
- 1 モチベーションの高い奴だけでいい 林 寛之
- 2 診療所勤務はブランドのキャリアなのだ 今 明秀
- 3 隠岐というフィールドが育ててくれた 白石吉彦
- 4 自分のやりたいことを仕事にできた 小倉高志
- 5 名物教授を集めて医学部を創るのは面白い 仲田和正
- 6 地域の人に許されているから離れられない 中村伸一
- 7 考えていることを曲げずにやってきた 塚田次郎
- 8 目の前の患者から逃げずにコツコツと 倉澤美和
第三章 成功要因の分析
- 1 比較的客観的な事柄
- 2 インタビューの内容と卒業生自らの調査から
第四章 自治医大をもうひとつ創るという夢