妊娠中には姿勢や重心の変化、体重変化、マイナートラブルの出現が複合的に生じ、「明確な産科合併症は起きていないけど不調が続く」という女性が多いです。これらへの対処法として、運動・トレーニング、姿勢や重心の理解と日常生活の工夫、マイナートラブルへの施術などは、薬を使いにくいこの時期に大きな味方となってくれます。周産期領域における理学療法やリハビリテーションは、妊婦自身や赤ちゃんの健康を向上するために大きな役割を担っており、豊富なエビデンスが蓄積されているため必要不可欠です。
本書では、「妊産婦の心身の変化」「妊娠期~産褥期ごとの産科合併症や注意点」「適切な理学療法的評価」「適切な理学・運動療法介入の手法」を、産科医、理学療法士両者の目線で有機的に組み合わせ、エビデンスに沿って解説します。適切な評価・介入手段を知り、理学療法士などリハビリテーション提供者が産婦人科医、助産師と密な連携をとっていくことで、さまざまな面で妊娠を希望する女性や妊産婦に貢献できるようになります。
産婦人科医、理学療法士をはじめ、周産期分野にかかわる、または関心を持っているすべての医療従事者に役立つ1冊です。
重見大介 産婦人科専門医,株式会社Kids Public 産婦人科オンライン代表,日本医科大学 非常勤講師
一色史章 Global Doctor of Physical Therapy Inc.理学療法士
周産期リハビリテーションの基礎
1 周産期リハビリテーションの概論
- 1.1 周産期医療の現状とリハビリテーションの必要性
- 1.2 周産期リハビリテーションの概要
- 1.3 周産期理学療法のチームビルディングと実践
2 妊娠前
- 2.1 正常妊娠
- 2.2 妊娠前の疾患・病態に対する医学的介入
- 2.3 妊娠前の女性に対する理学療法の有効性と注意点
- 2.4 妊娠前の女性に対する理学療法のエビデンス(妊娠率などの変化)
- 2.5 妊娠前の理学療法介入
- 2.6 ケーススタディ
周産期リハビリテーションの実際
3 妊娠初期
- 3.1 妊娠初期の身体の変化
- 3.2 初期の疾患に対する医学的介入
- 3.3 妊娠初期の女性に対する理学療法の有効性と注意点
- 3.4 妊娠初期の理学療法評価
- 3.5 妊娠初期の理学療法介入
- 3.6 ケーススタディ
4 妊娠中期
- 4.1 妊娠中期の身体の変化
- 4.2 妊娠中期の疾患に対する医学的介入
- 4.3 妊娠中期の女性に対する理学療法の有効性と注意点
- 4.4 妊娠中期の理学療法評価
- 4.5 妊娠中期の理学療法
- 4.6 ケーススタディ
5 妊娠後期
- 5.1 妊娠後期の身体の変化
- 5.2 妊娠後期の疾患に対する医学的介入
- 5.3 妊娠後期の女性に対する理学療法の有効性と注意点
- 5.4 妊娠後期の理学療法評価
- 5.5 妊娠後期の理学療法介入
- 5.6 ケーススタディ
6 分娩時
- 6.1 分娩の進行とリスク管理
- 6.2 分娩時の疾患に対する医学的介入
- 6.3 分娩時における理学療法の有効性と注意点
- 6.4 分娩時の理学療法評価
- 6.5 分娩時の理学療法介入
- 6.6 分娩時の疾患に対する医学的介入
7 産後
- 7.1 産後の身体の変化
- 7.2 産後の疾患に対する医学的介入
- 7.3 産後の女性に対する理学療法の有効性と注意点
- 7.4 産後の理学療法評価
- 7.5 産後理学療法介入
- 7.6 ケーススタディ